• 更新日 : 2024年7月20日

工事見積書における諸経費の相場は?費用内訳の具体例や計算方法、書き方を紹介

諸経費とは、工事や建設現場で発生する様々な間接的な費用のことです。工事を行う上で、直接的な工事費用(材料費、外注費、労務費など)以外にも、さまざまな間接的な経費がかかります。諸経費の相場はおおよそ5%から10%と言われています。この記事では、諸経費の特徴や計算方法について詳しく解説します。

諸経費とは?

諸経費とは、工事やプロジェクトを進行する上で必要不可欠な経費のことを指します。具体的には、これには、事務所の家賃、電気代、水道代、通信費広告宣伝費消耗品費旅費交通費、接待交際費などが含まれます。

諸経費は材料費や人件費以外の経費にあたり、事業を遂行するために必要な費用となります。

諸経費を記載する主な業種

諸経費は、さまざまな業種で計上されます。以下に、主な業種をいくつか挙げてみましょう。

  • 建設業:建設業では、工事の進行に伴う一般的な経費が発生します。これには、事務所の家賃や電気代、水道代、通信費、広告宣伝費、消耗品費、旅費交通費、接待交際費などが含まれます。
  • 製造業:製造業でも、製品を作るための直接的な材料費や労働費以外に、一般的な経費が発生します。これには、工場の維持管理費や設備の修理費、水道光熱費などが含まれます。
  • サービス業:サービス業では、サービスを提供するための人件費や設備費以外に、一般的な経費が発生します。これには、事務所の家賃や電気代、水道代、通信費、広告宣伝費、消耗品費、旅費交通費、接待交際費などが含まれます。

諸経費と諸費用との違い

特に建設業においては「諸経費」と「諸費用」は、似たような意味を持つ言葉ですが、微妙な違いがあります。それぞれの違いを理解することで、適切な費用計上が可能となります。

  • 諸経費諸経費は、建設工事に直接関連する費用を指します。これには、人件費や保険料、各種手数料などが含まれます。つまり、諸経費は、直接的な作業費を含むことが多いです。
  • 諸費用:一方、諸費用は、工事に関して間接的に発生する費用を指します。電気代、水道代、通信費、広告宣伝費、消耗品費、旅費交通費、接待交際費などが含まれます。直接的な作業費ではないものの、ビジネスを運営するためには必要不可欠な費用となります。

諸経費の内訳と具体例

諸経費は、大きく分けて「現場経費」と「一般管理費」の2つに分類されます。それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。

現場経費

現場経費とは、具体的な作業現場で発生する費用のことを指します。これには以下のような費用が含まれます。

  • 労務管理費:現場労働者の労務管理に要する費用です。これには、現場監督などの元請側の従業員の給与や工事保険料、施工図作成に掛かる費用などが含まれます。
  • 材料費:作業に必要な材料や部品の購入費用です。
  • 機械・設備費:作業に必要な機械や設備のレンタル費用、または購入費用です。
  • 運搬費:材料や機械の運搬にかかる費用です。
  • 保険費:作業中の事故に備えた保険料です。

これらの費用は、工事を遂行する上で直接かかる費用が現場経費に該当します。それぞれの作業現場や業種により、必要な現場経費は異なる場合があります。

一般管理費

一般管理費とは、会社全体の運営に必要な経費のことを指します。これには以下のような費用が含まれます。

  • 社員の給与:会社の従業員に支払われる給与や福利厚生費などの人件費です。
  • 事務所の家賃:事業所やオフィスの家賃です。
  • 水道光熱費:事務所や事業所にかかる水道・ガス・電気代です。
  • 通信費:電話やインターネットなどの利用料金です。
  • 消耗品費:文具やコピー用紙などにかかる費用です。

これらの費用は、事業全体の運営に関わる間接的な経費であり、ビジネスを運営するためには必要不可欠な費用となります。

諸経費の相場はどれくらい?

諸経費の相場は、一般的に、工事費用全体の5~10%程度が諸経費とされています。ただし、業種や事業規模、地域などにより異なります。

諸経費が異なる要因としては、下記のようなポイントが挙げられます。

  • 工事の規模:大規模な建設工事では、より多くの材料、機械、労働力が必要となります。これらのコストは現場経費として計上され、全体の諸経費を増加させます。一方、小規模な工事では、これらのコストは比較的少なく、諸経費の相場は低くなります。
  • 地域の違い:地域によっては、建設資材の価格や労働者の賃金が高い場合があります。例えば、都市部ではこれらのコストが高く、諸経費の相場も高くなります。一方、地方ではこれらのコストが低いため、諸経費の相場は低くなります。
  • 工事の種類:建設や工事の種類によっても諸経費の相場は異なります。例えば、特殊な技術や設備を必要とする工事では、それらのコストが諸経費に反映され、相場は高くなります。一方、一般的な工事では、これらのコストは比較的少なく、諸経費の相場は低くなります。
  • 環境への配慮:環境保護のための取り組み(例えば、廃棄物の適切な処理やリサイクル、環境に優しい材料の使用など)は、諸経費に影響を与えます。これらの取り組みはコストがかかるため、諸経費の相場を高くする可能性があります。

諸経費の計算方法は2種類ある

工事見積書における諸経費の計算方法には、主に以下の2つの方法があります。

  • 直接工事費に対して一定率を掛ける方式
  • 内訳に明細を記載する方式

それぞれの計算方法を詳しく見ていきましょう。

直接工事費に対して一定率を掛ける方式

直接工事費(材料費、労務費、外注費など)の合計額に対して、諸経費の割合(%)を掛けて算出します。諸経費の割合は、工事の種類や規模、会社の経営方針などによって異なりますが、一般的には10~20%程度が目安とされています。

例:直接工事費の合計が1,000万円で、諸経費の割合が15%の場合 諸経費 = 1,000万円 × 15% = 150万円

内訳に明細を記載する方式

諸経費を構成する各項目(現場管理費、一般管理費、利益など)ごとに金額を算出し、それらを合計して諸経費とします。各項目の金額は、過去の実績や会社の基準などを参考に設定します。

例: 現場管理費:100万円 一般管理費:50万円 利益:30万円 諸経費 = 100万円 + 50万円 + 30万円 = 180万円

どちらの計算方法を採用すべきか

どちらの方法を採用するかは、会社の方針や工事の特性によって決定されます。直接工事費に対して一定率を掛ける方式は簡便ですが、工事の内容によっては諸経費が過大または過小に算出される可能性があります。一方、内訳に明細を記載する方式は詳細な算出が可能ですが、手間がかかります。

いずれの方法でも、諸経費の適正な算出は、工事の採算性や会社の収益性に大きな影響を与えるため、慎重に行う必要があります。また、発注者との協議や業界の基準などを参考にして、適切な諸経費の設定を行うことが重要です。

工事見積書に記載する諸経費の書き方

工事見積書に諸経費を記載する方法もいくつかあります。それぞれ見ていきましょう。

諸経費の内訳を記載する場合

工事見積書に諸経費の内訳を詳細に記載する場合は、各費目の内訳が明確になるため、コストの透明性が高くなります。発注者に対して、経費の内容や積算根拠を詳しく説明できるメリットがあります。

諸経費の内訳を記載しない場合

諸経費の内訳を記載せず、一括りにすることもあります。諸経費は「諸経費 1式 〇〇円」のように、内訳は書かずに総額のみを記載するのが一般的です。

備考欄を利用する

必要に応じて、備考欄を利用して諸経費に関する追加情報を記入します。例えば、特定の費用が高くなる理由や、将来的なコスト削減の可能性について言及することができます。

工事見積書のテンプレート

工事見積書のエクセルテンプレートを以下からダウンロードできます。エクセルで入力してPDFに変換したり、印刷したりしてご活用ください。


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