• 更新日 : 2024年7月31日

消印とは?収入印紙に正しく押す方法や印鑑選び、失敗時の訂正方法まで解説

消印とは、文書と収入印紙の模様(彩紋)とにかけて押すハンコのことを指します。収入印紙とは、契約書や領収書など一定の文書に貼付することで、国に印紙税などの税金を納付するための証票です。

この記事では、消印の適切な押し方や印鑑の選び方、押し忘れた場合の対処法まで、実務で役立つ情報を詳しく解説します。

収入印紙に消印は必要?

収入印紙には消印が必要です。印紙税法により、課税対象となる文書(契約書や領収書など)に収入印紙を貼り付けた場合、その文書と収入印紙の模様(彩紋)とにかけてはっきりわかるように収入印紙を消さなければならないことになっています。

消印を押す目的は、その収入印紙を通して適切な額が納税されたことを証明することに加え、収入印紙の再使用を防止することです。

そもそも収入印紙とは

収入印紙は、印紙税法に基づいて発行される印紙で、契約書や領収書などで課税対象となる文書に貼付することで、国に印紙税を納付したことを証明するためのものです。印紙税は、文書の種類や金額に応じて定められており、所定の金額の収入印紙を貼付し、適切に消印を押すことで納税義務を果たしたことになります。

収入印紙が必要になる書類については、下記記事で詳しく解説しています。

収入印紙への消印は誰が押す?

収入印紙への消印は、課税文書の作成者が行います。

ただし、契約書のように複数の人が共同で作成した文書では、作成者全員が消印を押す必要はありません。消印は印紙の再使用を防止を目的に押すため、作成者のうち誰か1人が消印を押せば足ります。

領収書の場合は、その領収書を発行した側が消印を押すのが一般的です。

課税文書の作成者本人だけでなく、使用人や代理人が消印を押すことも認められます。作成者が事業者の場合、従業員が消印を押すことも多いです。

郵便物(切手)に押される消印との違い

収入印紙の消印と郵便物の消印は、役割が大きく異なります。郵便物の消印は、郵便料金の支払いを証明し、引き受けた郵便局名や引受日を特定するために郵便局が行います。

一方、収入印紙の消印は、印紙税の納付を証明するために文書の作成者が行います。収入印紙と文書の両方に印鑑を押すことで、収入印紙の再使用を防ぎ、税金が適切に納められたことを証明します。

収入印紙の貼り方と消印の押し方

収入印紙を適切に貼って消印を押すには、貼り方や消印の位置などいくつかのポイントがあります。具体的な手順と注意点を詳しく見ていきましょう。

収入印紙の貼り方、貼る場所

収入印紙を文書に貼る際、特別な規定はありませんが、一般的には以下の位置に貼ります。

  • 契約書:左上のスペース
  • 領収書:右下または貼り付け欄

ただし、契約書や領収書に予め貼付け位置が指定されている場合は、その指示に従いましょう。

消印の押し方、消印を押す位置

消印は収入印紙と印紙が貼られている書類の両方にまたがるように押します。これにより印紙の再使用を防ぐ効果があります。消印は収入印紙の中央に押すのではなく、印紙の端にかかるようにし、書類部分にも押印されるようにします。

消印を押す際は、以下の手順で行います。

  1. 印鑑または署名を用意する:消印は、印鑑または署名によって行います。印鑑は通常の印鑑だけでなく、氏名、名称などを表示した日付印、役職名、名称などを表示したゴム印のようなものでも構いません。また、署名は自筆によるもので、氏名や通称、商号などでも構いません。
  2. 消印を押す:消印は、収入印紙と文書の両方にまたがるように印章を押すか、または署名します。
  3. 消印をしっかりと押す:印章を押す場合は、印影がかすれたりにじんだりしないように、しっかりと押す必要があります。

消印に使用する印鑑(はんこ)

消印に使用する印鑑に特別な規定はありません。文書の作成者、代理人、使用人、その他の従業者の印章または署名で消印を行います。

使用できる印章は以下のようなものです。

  • 通常の印鑑
  • 氏名、名称などを表示した日付印
  • 役職名、名称などを表示したゴム印

署名は自筆によるもので、氏名に限らず、通称や商号などを表示したものでも構いません。

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 「印」と表示したり斜線を引いたりするだけでは、消印とはみなされない。
  • 一見して消印者が明らかになる程度に印章を押す、または署名する必要がある。
  • 通常の方法では消印を取り去れないようにする必要がある(鉛筆での署名は不可)。

適切な印章や署名を使用し、明瞭に消印を行いましょう。

収入印紙への消印に失敗した場合

収入印紙への消印に失敗する原因として、以下のような状況が考えられます。

  • 印鑑の位置がずれている:消印が収入印紙と文書の両方にまたがるように押されていない場合です。片方だけにしか押されていなければ、無効となります。
  • 印影が不鮮明である:消印が薄くてはっきりと見えない状態です。
  • 誤った印章または署名の使用:前述の通り、「印」と表示したり斜線を引いたりしただけでは正式な消印とはみなされません。

収入印紙への消印に失敗した場合は、改めて消印を正しく押す必要があります。失敗した印影と被らないように、別の箇所に消印を押しましょう。消印の印影が不鮮明であると、無効とされるリスクが高まります。消印を押す際には、しっかりと力を入れて押し、印影がはっきりと出るように注意しましょう。

消印の訂正法に特段のルールはないので、失敗した印影に訂正印を押すなどの措置は不要です。

収入印紙に消印を押し忘れたらどうなる?

収入印紙に消印がない場合、法律上は納税しなかったこととみなされます。この場合、過怠税が課せられる可能性があります。そうなると、本来納めるべき印紙税額の3倍の金額を納めなければならないため、注意が必要です。

ただし、税務調査を受ける前に自主的に申告した場合、過怠税が1.1倍に軽減される救済措置があります。消印の押し忘れや不適切な消印に気づいたら、早めに税務署に相談し、適切な対処方法を確認することが重要です。

なお、契約書などで原本と控えなど同じ内容の課税文書を複数作成した場合は、すべての文書に収入印紙を貼り付ける必要があることにも注意してください。

電子契約の場合は収入印紙が不要

電子契約の普及により、収入印紙の貼付が不要となるケースが増えています。電子契約とは、デジタルデータで作成した契約書に電子署名やタイムスタンプを付与することで法的証拠力を持たせる方法です。

電子データには印紙税が課されないため、電子契約文書には収入印紙は不要です。また、電子契約文書を印刷しても、それは「写し」とみなされ、印紙税は発生しません。ただし、印刷した文書を原本として扱う場合は課税文書に該当するため、収入印紙の貼付が必要となります。

電子契約の導入は、印紙税の節税に役立つとともに、業務の効率化につながりますが、法的要件を満たす必要があります。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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