- 更新日 : 2024年7月27日
エクセル(Excel)で電子印鑑を無料で作成するには?!3つの作り方と注意点を紹介
電子印鑑とは、従来の紙の書類に押す物理的な印鑑をデジタル化したものです。エクセルでは電子印鑑を無料で作成できるうえ、印鑑の形状やデザインを自由にカスタマイズできるため、ビジネスユーザーにとって活用しやすいでしょう。
しかし、電子印鑑にはセキュリティリスクなど、注意すべき点もあります。
この記事では、電子印鑑の基本知識から、エクセルを使った作成方法、デメリットや関連サービスの活用方法まで解説します。
目次
電子印鑑とは?
電子印鑑は、従来の紙の文書に押印する物理的な印鑑をデジタル化したものです。電子データとして作成されるため、PDFやWord、Excelなどで作成された電子文書へ電磁的に「押印」できます。電子印鑑を作成する際には、形状、色、大きさなど、さまざまな設定が可能です。
電子印鑑の主な目的は、紙の文書に認印を押印するのと同じように電子文書に押印することにあります。これにより、文書の信頼性と透明性を保ちながら、ペーパーレス化による業務の効率化が望めます。
ただし、電子印鑑自体には法的な効力がありません。文書の作成者とその人の意思を一応示すことはできますが、作成者本人が自分の意思で文書を作成したことの証明にはならないのです。
電子印鑑に法的な効力を持たせるためには電子署名を付与する必要がありますが、これはエクセルではできません。
請求書や領収書、見積書などの文書では電子署名なしの電子印鑑を使用しても問題ないことが多いですが、契約書などの重要な文書では、電子署名を付与した電子印鑑を使用する必要があるでしょう。
このように、電子印鑑の使用にあたっては、その目的と範囲を十分に理解し、状況に応じて電子署名を付与することが重要となります。
エクセル(Excel)で電子印鑑を作るメリット
無料で手軽に作成できる
エクセル(Excel)はオフィスソフトのMicrosoft Officeに標準で搭載されているソフトウェアです。エクセルで電子印鑑を作成する場合、Microsoft Officeを利用していれば、別途電子印鑑作成ソフトウェアやサービスを購入する必要がありません。
また、紙やインクを使わないため、ランニングコストも削減できます。
エクセルはビジネスにおいて触れる機会が多いソフトウェアであるため、手軽に電子印鑑を作成できることもメリットでしょう。
印鑑の形状を自由に設定できる
エクセルには図形作成機能が標準で搭載されているため、印鑑の形状や色、大きさなどを自由に設定することができます。
これにより、自社のブランドイメージに合ったオリジナルの電子印鑑を作成することが可能です。
文書の承認を効率化できる
電子印鑑を使用することで、紙の文書を印刷し、印鑑を押し、スキャンするという手間が省けます。
エクセルで作成した電子印鑑は使い方もシンプルなので、誰でも簡単に文書の承認プロセスをデジタル化し、効率化することができるのです。
エクセル(Excel)の図形から電子印鑑を作成する方法
エクセル(Excel)を利用した電子印鑑の作り方は、3種類あります。
ここではまず1つめとして、エクセルの図形機能を使って電子印鑑を作成する方法について説明します。この方法ではエクセルの基本的な操作だけで電子印鑑を作成できるため、手軽に電子印鑑を作成できます。
1.エクセルのワークブックの新規作成
まず、エクセルを開き、新しいワークブックを作成します。
2.印鑑枠の作成
エクセルの「挿入」タブをクリックし、「図形」メニューから「楕円」を選択します。
マウスカーソルが十字に変わったら、ワークシート上でマウスの左ボタンを押しながらドラッグします。これにより、円を描けます。円の大きさは印鑑の大きさに合わせて調整します。
エクセルでは、円の形状(線の太さ、線の色、塗りつぶしの色など)を自由に調整することができます。円を選択した状態で、「図形の書式設定」タブをクリックすると、形状の調整が可能なメニューが表示されます。
一般的な電子印鑑を作成する際は、「図形の塗りつぶし」で「塗りつぶしなし」を、「図形の枠線」で色は「赤」を、太さは「1.5pt」を選択するとよいでしょう。
3.円の中に名前(名字)を入力する
円の中に名前(名字)を入力するには、「テキストボックス」機能を使用します。横書きと縦書きを選べますが、「縦書きテキストボックス」を選択するのが一般的です。
テキストボックスを円の上に配置し、名字を入力したら、文字のフォントや大きさ、色などを調整します。これには、「ホーム」タブの「フォント」グループを使用します。印鑑の見た目に合わせて、全体のバランスが整うように調整しましょう。
4.透過する形で保存する
作成した電子印鑑(円と名字が入ったテキストボックス)を選択します。その状態で「データ」タブにある「グループ化」をクリックすると、円とテキストボックスが一体化して固定されます。
一体化した円とテキストボックスを選択したまま右クリックし、「図として保存」を選択してください。このとき、PNG形式を選択すると、背景が透過された画像として保存されます。JPEG形式を選択すると背景が透過されないので注意が必要です。
エクセル(Excel)のアドインを利用して電子印鑑を作成する方法
2つめの方法として、エクセル(Excel)のアドイン(拡張機能)を利用して電子印鑑を作成する方法について説明します。この方法ではアドインをインストールする必要がありますが、名字やフォントを設定するだけで電子印鑑が完成するので、図形から作成する方法よりも簡単に電子印鑑を作成できるというメリットがあります。
1.アドインのインストール
まず、電子印鑑作成に適したエクセルのアドインをインターネットから探し、ダウンロードしてインストールします。インストール方法は、アドインの提供元のウェブサイトに記載されています。
代表的なアドインとして「Excel電子印鑑」などが挙げられます。
2.アドインを起動する
エクセルを開き、メニューの「アドイン」タブをクリックします。次に、インストールしたアドインの名前をクリックして起動します。
3.電子印鑑を作成する
アドインに従って、電子印鑑を作成します。多くのアドインでは、印鑑の形状や色、大きさなどを自由に設定できます。
4.透過する形で保存する
作成した電子印鑑は、背景が透過する形で保存します。多くのアドインでは、背景を透明にするかどうかを選択できるようになっているので、「背景を透明にする」を選択して保存しましょう。
エクセルのアドインを利用することで、より高度な電子印鑑の作成が可能になります。しかし、アドインの使用には注意が必要です。アドインは第三者が提供するツールであるため、信頼性やセキュリティに問題がある場合があります。
アドインを使用する際には、提供元の信頼性を確認し、必要に応じてセキュリティソフトでスキャンするなど、適切な対策を講じることが重要です。
エクセル(Excel)に画像を取り込んで電子印鑑を作成する方法
3つめの方法として、エクセル(Excel)に画像を取り込んで電子印鑑を作成する方法について説明します。この方法は、既に物理的な印鑑があり、それをデジタル化したい場合に適しています。
1.印鑑画像を準備する
まず、物理的な印鑑をスキャンまたは写真に撮り、画像ファイルとしてパソコンに保存します。このとき、背景が白または単色で、印鑑がはっきりと見える画像を用意すると良いです。
2.印鑑画像の取り込み
エクセルを開き、メニューの「挿入」タブをクリックします。次に、「画像」ボタンをクリックし、保存した画像ファイルを選択して取り込みます。
3.印鑑画像を調整する
取り込んだ画像は、マウスのドラッグやトリミングによって任意の大きさに調整できます。印鑑の大きさに合わせて、画像の大きさを調整します。
4.透過する形で保存する
取り込んだ画像を電子印鑑として使用するためには、背景を透過させた方がよいでしょう。
その方法は、まず画像を左クリックし、「図の形式」タブから「背景の削除」を選択します。印影の部分を「保持する領域」としマークし、周囲の部分を「削除する領域」としてマークしましょう。「背景の削除」タブで「変更を保持」を選択すると、印影の周りが透過されます。
あとは、画像を右クリックして「図として保存」を選択してPNG形式で保存すれば、電子印鑑の完成です。
エクセル(Excel)で電子印鑑を作るデメリットや注意点
法的効力を持たない
電子印鑑は電子署名を付与しない限り、実印と同等の法的効力を持ちません。
電子署名とは、電子文書が署名した本人によって作成されたことと、改ざんされていないことを証明するための、電子的な証拠となるものです。これによって文書が真正に成立したことが証明されるので、電子署名が付与された電子文書には、実印が押印された紙の文書と同等の法的効力が認められます。
電子印鑑を押印しただけの電子文書には、文書が真正に成立したことを推定させるだけの法的効力がないのです。
そのため、請求書や領収書、見積書など認印の使用が許される文書では電子印鑑を使用できる場合が多いですが、重要な契約書や公文書への押印には、依然として実印の使用が求められる可能性があります。
セキュリティのリスク
エクセルで作成した電子印鑑は、パスワードなどの保護機能がないため、不正使用されるリスクがあります。特に、共有のパソコンやネットワークを使用している場合、他の人が電子印鑑をコピーしたり、不適切に使用したりする可能性があります。そのため、電子印鑑の管理には十分な注意が必要です。
偽造・改ざんの可能性
電子印鑑は簡単に複製や改ざんができてしまいます。電子署名のように、文書を作成した本人が押印したことを証明できる機能もありません。そのため、悪意のある第三者が勝手に電子印鑑を使用して文書を偽造するなどのリスクがあります。やはり、重要な文書には電子署名を付与するか、実印を使用する必要があるといえるでしょう。
繊細なデザインには不向き
エクセルの図形機能を利用したり、画像を取り込んだりして作成した電子印鑑は、画質が低い場合があります。特に、印鑑の細部や複雑なデザインを再現するのは難しいかもしれません。高品質な電子印鑑が必要な場合には、専用のソフトウェアを使用することを検討する必要があります。
著作権の問題
一般的にビジネスで使用する実印に著作権はありません。しかし、特殊なデザインの印鑑は「創作物」に該当する可能性もあります。創作物に該当する印鑑の画像をスキャンまたは写真に撮ってエクセルに取り込むと、著作権の問題が発生するリスクがあることに注意が必要です。また、他人の名前やロゴ、商標などを無断で使用すると、著作権侵害や商標権侵害となる可能性があります。
電子契約サービスでセキュリティのリスクを回避
先述の通り、エクセルで作成した電子印鑑にはセキュリティ上の問題を始めとする、さまざまなリスクが伴います。これらのリスクを効果的に回避する方法が電子契約サービスです。
電子契約サービスとは、電子署名技術を活用してオンラインで法的に有効な電子契約を締結できるサービスです。これを利用することで、エクセルの電子印鑑が抱える課題を解決できます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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