• 更新日 : 2024年9月3日

電子帳簿保存法の対応はGoogleドライブでも可能?適切な対応方法やWorkspaceのプランを解説

ビジネス・組織向けに提供されているGoogle Workspaceサービス内のGoogleドライブを活用することで、電子帳簿保存法に対応した書類の管理が可能です。

この記事では、Googleドライブがどのように電子帳簿保存法に対応しているか、適切なプランはどれか、電子帳簿保存法の概要をふまえて解説します。

Googleドライブはどう電子帳簿保存法に対応している?

電子帳保存法の対応方法として、Google Workspaceサービス内のGoogleドライブを活用することができます。

Google Workspaceは、ビジネスや組織向けに提供されるクラウドサービスのパッケージで、Gmail、Googleカレンダー、Googleドライブ、Google Meetなどのツールが含まれています。また、Google Workspaceでは、ユーザーや組織ごとにファイルへのアクセス権限や公開範囲を制限したり、ユーザーの行動や履歴をログ追跡したりできます。

では、Google WorkspaceにおけるGoogleドライブはどのように電子帳簿保存法に対応しているのか、詳しく見てみましょう。

Google WorkspaceはJIIMA認証を取得済

Google Workspaceは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が審査する「電子取引ソフト法的要件認証」を取得しています。これは、Google Workspaceが電子帳簿保存法の要件を満たしていることを示す証明です。

JIIMAは、市販されているソフトウェアやサービスが電子帳簿保存法の要件を満たしているかをチェックし、法的要件を満たしていると判断したものを認証しています。つまり、JIIMA認証を取得したソフトウェア、ソフトウェアサービスを適切に使用すれば、法令に準拠して書類の管理ができるのです。

タイムスタンプ付与に代えて運用が可能

タイムスタンプとは、電子データに時刻を付与して改ざんを防ぐ技術です。例えば、ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明するといったことです。

電子帳簿保存法の2022年1月の改正により、一定の要件を満たす場合にタイムスタンプの付与が不要となりました。

タイムスタンプ以外で電子帳簿保存法に対応する方法は下記の通りです。

  • 訂正・削除の事実と内容を確認できるクラウド:データの訂正や削除が行われた場合、データがいつどのように変更されたかをシステムで追跡できること。
  • 訂正・削除ができないクラウド:データの訂正や削除を防ぐためのシステムを使用し、データの無断改ざんを防ぐことができること。

これらの措置により、タイムスタンプを付与しなくても電子帳簿保存法に対応することが可能になりました。

Googleドライブはタイムスタンプ機能を持っていませんが、Vault機能において訂正・削除の履歴や内容を確認できます。Vault機能を含んだプランで適切な運用を行えば、電子帳簿保存法に則って書類を保管できます。

そもそも電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、会社や個人事業主が作成した帳簿や書類を電子データで保存することを義務づけた法律です。従来は紙での保管が必須でしたが、この法律によってコストの削減や保管スペースの節約、データの検索や管理が容易になりました。

電子帳簿保存法の対象書類

電子帳簿保存法の対象となる書類は主に以下の3種類です。

  • 国税関係帳簿:仕訳帳総勘定元帳現金出納帳、固定資産台帳など、企業の収支や資産状況を把握するための帳簿が含まれます。
  • 国税関係書類:貸借対照表損益計算書といった決算に関する書類、請求書、契約書、領収書など、取引に関連する書類が含まれます。
  • 電子取引情報:電子的に授受した、Web請求書、メールデータ、EDI取引、クラウド取引、取引データなどが含まれます。

これらの書類は、企業の経営状況を正確に把握し、適切な経営判断を下すために不可欠なものです。また、税務署に提出する税務申告書の作成にも必要となるため、適切に保存しておくことが求められます。

電子取引データの保存要件

電子帳簿保存法では、電子データで保管する際の要件が定められています。これは、改ざんや紛失を防ぐことで、書類の真正性と保管の適切性を担保するためです。

具体的な要件は以下のとおりです。

  1. 保存期間:取引が行われた日から7年間、データを保存する必要があります。これは、税務署がいつでもデータをチェックできるようにするためです。
  2. 保存する情報:取引の日時、相手方、内容、金額など、取引の詳細を記録する必要があります。これは、税務申告の根拠となるためです。
  3. タイムスタンプ:データがいつ作成または変更されたかを示すタイムスタンプを付ける必要があります。これは、データが信頼できることを証明するためです。
  4. 真実性と可視性:保存したデータが削除・改ざんされていないことを確認し、データを検索・表示できるようにする必要があります。

電子帳簿保存に対応したGoogle Workspaceのプランは?

Googleドライブを活用して電子帳簿保存法に対応するには、ビジネス・組織向けのGoogle Workspaceの利用が必要になります。Google WorkspaceにはBusiness Starter、Business Standard、Business Plus、Enterpriseの4つのプランがあります。

それぞれの特徴をまとめると、下記のようになります。

プラン名価格(月額)Driveストレージ容量
(ユーザーあたり)
主な機能
Business Starter¥68030GBGmail、Googleドライブ、Google Meetなどの基本的なツール
Business Standard¥1,3602TBBusiness Starterの全機能に加え、より大容量のストレージとビデオ会議の録画機能
Business Plus¥2,0405TBBusiness Standardの全機能に加え、Vault機能や高度なセキュリティと管理機能
Enterprise要問い合わせ5TB以上(追加リクエスト可能)Business Plusの全機能に加え、より高度なセキュリティ、管理機能、コンプライアンス統制機能

Google Workspace Business Plusプラン以上

Googleドライブで電子帳簿保存法に対応するためには、Google Workspace Business Plusプラン以上が必要です。このプランでは、Vaultという機能が利用できます。

Vaultは、ユーザーが削除したアイテムや編集履歴を含むGoogle Workspaceデータを検索し、保持、エクスポートできます。これにより、電子帳簿保存法の「真実性の確保」の要件を満たすことができます。

Googleドライブで電子帳簿保存に対応する方法

Googleドライブで電子帳簿保存法に対応するための手順を紹介します。

共有ドライブ内に電子帳簿保存フォルダを作成

Googleドライブの共有ドライブ内に電子帳簿保存用のフォルダを作成します。管理者以外のユーザーは、アクセス権を「投稿者」に設定します。これにより、投稿者は、ファイルのアップロードはできますが、削除、訂正ができなくなります。このフォルダに、各担当者が請求書や経理帳簿、関連書類を保存します。

年月ごとのフォルダを作成

電子帳簿保存フォルダ内に年月ごとのフォルダを作成します。例えば「2024年1月」、「2024年2月」、「2024年3月」…といったようにです。そして、それぞれの月のフォルダに、その月に発生した取引のデータを保存します。これにより、データの検索や管理が容易になります。

年月ごとにフォルダを作成することで、特定の期間のデータを素早く見つけ出すことができます。また、データがどの期間に関するものか一目でわかるため、データの管理が容易になります。

Vault機能を設定

Vaultの設定は、Google Workspaceの管理者が行います。管理者は、Vaultのダッシュボードからカスタムルールをクリックして保持ルールを作成し、どのデータをどのくらいの期間保持するかを設定します。例えば保存期間を7年と設定をしておけば、電子帳簿保存法に基づく書類の保存期間をクリアできます。

また、必要に応じて特定のユーザーに対する保持ルールを作成することも可能です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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